マニラ最後の日の朝は、いつもの緊張感はなかった。
最後の夜に、同じインターン生に付き合ってもらいサンミゲルピルセン一本分のささやかな宴に付き合ってもらった後、
案の定ぐっすりと眠ることができてしまっていた。
ほとんど終えた荷物のパッキングを見直し、同じインターン生の栗原くんに手伝ってもらいながら、
やや変形しかけているスーツケースをなんとか押しこむ。
一応は閉まったものの、今にも破裂しそうな様を見て、
いくつかの本とバスタオルを置いて行くことにした。ものが多いのは直したいところの一つである。
「フィリピン人の友達に、船だけは乗るなって止められました。危険だから」
「年に結構沈むみたいですよ。気をつけてくださいね」
「そういえば、今日の夜に台風が来るらしいですよ。」
同じ部屋に住むインターン生のあまりにも暖かい言葉を受けて、
生きてセブ島に辿り着けるのが本気で心配になる。
(大丈夫、しっかり保険に入ったから。もしもの時は保険金がでる)
そう自分に言い聞かせ、想像すらつかない船旅への思いを馳せていった。
来た時よりも少し太ったスーツケースを持って、
晴天の中をタクシーで通勤する。普段からこういうわけではない、
今回はスーツケースを持っているからだ、と思った瞬間に、
もう3日連続で往復どちらかにタクシーを使っていることに気づき、苦笑する。
気づけば、あまりにも早い4ヶ月であった。
最初の3週間こそ、前のインターン生である鈴木くんと一緒に生活したが、
あとは2ヶ月半ほどほとんど一人暮らしであった。
また、新しく人と暮らしていたこの3週間ほどが最初の3週間とリンクして
どこか懐かしい。
同じ空間であるのに、自分一人でいる時と複数人で生活している時ではまるで
雰囲気が違う。あの感覚はきっと会話が生まれ得る環境かどうかに起因するに違いない。
そして今日、船でセブ島へと旅立つ。
半日だけ、オフィスに顔を出した後、マニラの港へと向かう。
タクシーで向かう中でかかっていた曲がこれからの生活の不安と期待を
反映していて、なんとも切なくなった。
途中タクシーの運ちゃんが警察に止められるなど、
ささやかなハプニングを尻目に、今回船の出る港へ到着した。
思った以上に人が多いのと、飛行機と違ってフィリピン人しかいないことに気がついた。
空港とは大きな違いである。
オフィスのあるBGCから車で約1時間半だった。
上記のように、Google Mapsの予測時間があてにならないのがフィリピン(特にマニラ)である。
なお、住所は以下のとおりである。
住所: Tondo, Manila,Metro Manila
マニラからセブ島へ行く際はこのPier4という場所のようだ。
船の目的地や船便によってPier15という場所を使用することもあるらしいので、
注意が必要である。
タクシーの運転手から
「Pier4は新しい港だけど、周りにレストランやコンビニはないよ。」
と聞いていたため少々焦ったが、
簡単な飲食店は10弱ほどあり、コンビニのような小さなスーパーもあった。
結構人の言うことはあてにならないのがフィリピン。気を付けなければ。
焼売とご飯、アイスティーで52ペソのセットを頬張り、
出港の時を待つ。
なお、船の場合、出港時刻の4時間前にはチェックインが必要とのことだった。
かなり早い集合が必要である。
なお、気になるのがやはり料金だと思うがマニラからセブの場合、料金は決して格安というわけではない。
むしろ飛行機に負けず劣らずの値段であった。
またチェックインの前にTERMINAL FEEという謎の料金を納める必要がある。
自分の場合は、95ペソであった。
学生だと76ペソ、高齢者だと67.86ペソと
やや割引になるらしい。
今回であれば6:30PMに出港だったため、2:30PMまでには
チェックインが必要とのことだった。
チェックインは荷物検査と写真撮影。
簡単なものだった。
チケットさえ持っていれば特にパスポートの提示は求められなかった。
逆に言うとチケットがなければ、港の敷地内にしか入れないのはかなり驚きだった。
しかし、何度か外に出たりガードの人に聞いているうちに
チェックインさえしてしまえば、割りと移動に関しては融通が効くことが判明した。以下ガードの人とのやりとりである。
一回目
「2:30PMまでにチェックインが必要だ。搭乗まで待ってくれ」
二回目
「2:30PM~3:00PMまでの間に搭乗可能だ。その間しか駄目だ。」
三回目
「4:30PMまでに船の中にいればセーフだ。これ以上はさすがに無理だ。」
船を利用する人で、4時間前までに間に合わなかった人も、どうか頑張ってみて欲しい。間に合う可能性は、ある。
※あくまで体験談です。間に合うことを保証するものではございませんので、悪しからず。
※※なお自分の場合は、二回目の時に一度、
スーツケースを自分のベッドに移動させてから
「ターミナルに忘れ物をしてしまった!戻れないか?」と聞き戻った。
こちらも参考にして欲しいです。
なおここまでして、ターミナルに戻った理由は、
フィリピン人の友人が見送りに来てくれたからだ。
なお表題のフィリピンに来てもなおタレ目の友人が多い理由というのは